confeito 第22号

confeito 第22号(2011年9月1日発行)より

ツバメが翔んだ日もしくはさらば夏のツバメ

営業部 沼野井 敬

 今現在、あの大震災から約5か月が過ぎようとしています。我が家の塀と屋根の修理もやっと始まりました。
 屋根を修理するにあたって、気掛かりなことがありました。我が家の軒先には、燕の巣があります。5年程前から毎年燕がやって来ます。今年は地震の時に瓦でも当たったのか巣の半分が欠けてしまい心配していたのですが、例年より遅れて来たと思ったら、本家の屋根が傷んだままなのをよそに、またたく間に巣を修繕して、あっと思った時には、もう5羽の子供達が仲良く顔を並べていました。
 ペットと飼い主の関係ではないので、お互い干渉しないで共存しています。それでも何かの縁で我が家を選んでくれて、春先には遠い異国の地から飛んで帰って来るのですから、愛情がわきます。かってに家族の一員と思っています。ただ今年は、屋根の工事が心配でした。足場を組んでガンガン始まってしまうと、子鳥が巣から落ちたり、騒音で来年から来なくなったりすることもあるらしいのです。
 まるで解っていたようです。いよいよ足場を組む日の朝、燕一家は旅立って行きました。親鳥が先に飛び出して上空で子を待ちます。4羽がそれに続きました。一番小さな子は、パタパタと一旦外灯の笠の上へ。一呼吸置いてエイヤッと飛び上がりました。瞬間、それまでバラバラに飛んでいた燕一家はスッと隊列を組み、我が家の上空をくるりと旋回したかと思うと、一気に加速してヒューンと空の彼方へ飛び去りました。なんて鮮やかなサヨナラ。
 燕一家は、いつもの自分たちの営みを淡々と堂々とこなして去りました。今年は特別感慨深いものがありました。
 変化に浮足立つことなく、まずは地に足を付けて。さあ、繁忙期がやって来ます。がんばっていきましょうか。